小規模事業者持続化補助金の対象経費を業種別の具体例で解説
小規模事業者持続化補助金は「何に使えるお金なのか」が分かりにくいという声をよくいただきます。この記事では、対象となる8つの経費区分の内容と、飲食業・小売業・美容業・サービス業などの業種別によくある具体例を整理しました。あわせて、対象経費のルールは公募回ごとに見直されることがある点にも触れますので、申請を検討する際の参考にしてください。
1小規模事業者持続化補助金の対象経費は8区分
小規模事業者持続化補助金(一般型・創業型とも共通)で補助対象となる経費は、次の8つの区分に分類されています。
- ①機械装置等費
- ②広報費
- ③ウェブサイト関連費
- ④展示会等出展費(オンライン展示会・商談会を含む)
- ⑤旅費
- ⑥新商品開発費
- ⑦借料
- ⑧委託・外注費
この8区分以外の経費は、原則として補助対象外となります。さらに、同じ区分の中でも「対象になる経費」と「対象にならない経費」が細かく定められているため、区分名だけで判断せず、具体的な使いみちまで確認することが大切です。
補助対象経費として認められる3つの条件
8区分のいずれかに該当していても、以下の3つの条件をすべて満たしていなければ補助対象にはなりません。
- 使用目的が補助事業の遂行に必要なものと明確に特定できること
- 交付決定日以降に発生し、補助事業実施期間中に支払いが完了していること
- 見積書・請求書・領収書などの証憑資料によって、支払金額が確認できること
交付決定日より前に発注・契約・支払いを行った経費は、原則としてすべて補助対象外になります。採択通知が届いても、交付決定通知を受け取るまでは発注や契約をしないよう注意してください。
2業種別によくある対象経費・対象外経費の具体例
ここでは、弊社にご相談いただくことが多い業種を例に、どのような経費が対象になりやすいか、逆にどのような経費は対象外になりやすいかを整理します。なお、実際の可否は経営計画・補助事業計画の内容や証憑の有無によっても変わるため、あくまで目安としてご覧ください。
飲食業の場合
| 経費区分 | 対象になりやすい例 | 対象にならない例 |
|---|---|---|
| 機械装置等費 | 新メニュー提供のための調理機器・オーブン・冷凍冷蔵庫 | 単なる老朽機械の取替え、自動車・キッチンカー |
| 新商品開発費 | 新メニュー試作用の原材料(使い切ることが前提) | 試作後にそのまま販売する商品の原材料、文房具 |
| 広報費 | 新メニューを紹介するチラシ・看板・SNS広告 | 単なる求人広告、会社案内パンフレット |
| 借料 | 客席増加のための店舗改装、トイレのバリアフリー化工事 | 既存の店舗家賃、単純な店舗移転に伴う解体・建設工事 |
小売業の場合
| 経費区分 | 対象になりやすい例 | 対象にならない例 |
|---|---|---|
| 機械装置等費 | 陳列用ショーケース、衛生向上のための什器 | パソコン・タブレット端末などの汎用機器 |
| ウェブサイト関連費 | 商品販売用ECサイトの新規作成・更新、宣材写真の制作 | 既存ソフトウェアの更新料、家庭用・一般事務用ソフト |
| 広報費 | 新商品のDM発送、インターネット広告・バナー広告 | 名刺、金券・商品券、未配布のチラシ |
| 展示会等出展費 | 販路開拓のための展示会・商談会出展料 | 販売のみを目的とした出展、飲食費を含む商談会参加費 |
美容業(美容室・サロンなど)の場合
| 経費区分 | 対象になりやすい例 | 対象にならない例 |
|---|---|---|
| 機械装置等費 | 新サービス提供のための専門美容機器 | 汎用性が高く目的外使用になり得る家庭用電気機械器具 |
| 借料 | 施術スペース拡張のための内装工事 | 通常の生産活動のためだけに使う設備の改装 |
| 委託・外注費 | 販促用デザインの外注(成果物が自社に帰属するもの) | 社内の役員・従業員や、代表者の親族への発注 |
| 広報費 | 新メニューを訴求するSNS広告・運用代行費 | 単なる会社PRとしての広告、求人広告 |
サービス業(士業・コンサル・各種事業者など)の場合
| 経費区分 | 対象になりやすい例 | 対象にならない例 |
|---|---|---|
| ウェブサイト関連費 | 顧客管理システムの構築、業務効率化のためのソフトウェア導入 | 既存ウェブサイトに関するコンサルティング・アドバイス費用 |
| 委託・外注費 | 市場調査やシステム開発の外注(契約書・成果物ありのもの) | 業務の実務すべてを再委託する前提の発注 |
| 旅費 | 販路開拓のための展示会出展や商談にかかる交通費・宿泊費 | 通常の営業活動とみなされる出張、ガソリン代・タクシー代 |
| 新商品開発費 | 新サービス開発に伴うテストマーケティングを伴う取組 | 開発・試作したものをそのまま販売する場合の費用 |
建設業(造園・外壁塗装・リフォーム店など)の場合
| 経費区分 | 対象になりやすい例 | 対象にならない例 |
|---|---|---|
| 機械装置等費 | 自動車等車両のうち「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」の「機械及び装置」区分に該当するもの(例:ブルドーザー、パワーショベルその他の自走式作業用機械設備)など、造園・外構工事等で使う自走式の作業用機械 | 自動車等車両(「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」の「機械及び装置」区分に該当するものを除く)や、単なる取替え更新であって新たな販路開拓につながらない機械装置等 |
| 委託・外注費 | 施工実績としてPRにつなげるための店舗改装・バリアフリー化工事や利用客向けトイレの改装工事 | 補助事業で取り組む販路開拓や業務効率化に結びつかない工事(単なる店舗移転を目的とした旧店舗・新店舗の解体・建設工事、住宅兼店舗の改装工事における住宅部分、既存の事業部門の廃止にともなう設備の解体工事など)や、「諸経費」などの委託・外注に係る内訳が不明な費用 |
| 広報費 | 施工事例を紹介する看板作成・設置やチラシ・カタログの外注や発送 | 商品・サービスの宣伝広告を目的としない広告・看板・会社案内パンフレット作成・求人広告(単なる会社の営業活動に活用されるものとして対象外) |
| 旅費 | 新規エリア開拓の訪問・商談にかかる旅費(補助事業計画に基づく販路開拓を行うための出張である旨を記載した出張報告の作成等により、必要性が確認できるものが補助対象となります) | 個社同士の商談や単なる営業活動に係る旅費 |
広報費とウェブサイト関連費は、それぞれ補助金交付申請額の上限が30万円(税込)に設定されています。また、どちらも単独での申請はできず、必ず他の経費区分と組み合わせて申請する必要があります。
3業種を問わず共通して対象外になりやすい経費
どの業種であっても、次のような経費は補助対象外とされています。経費計画を立てる際にあわせて確認しておきましょう。
- 自動車・フォークリフト・キッチンカーなどの車両(例外として機械装置に該当する特殊車両を除く)
- パソコン・タブレット端末・プリンターなど汎用性が高く目的外使用になり得る機器
- 名刺・文房具・インクカートリッジなどの消耗品
- 茶菓・飲食・接待にかかる費用
- 役員報酬や従業員の人件費、雑役務費(アルバイト代など)
- コンサルティング・アドバイス費用(インボイス制度対応の専門家への相談費用を除く)
- 税理士・公認会計士への税務申告・決算関連の報酬、弁護士費用
- 振込手数料、代引手数料などの決済にかかる手数料
4対象経費のルールは公募回ごとに見直されることがある
小規模事業者持続化補助金は、公募回が変わるタイミングで対象経費の範囲や上限額、必要な手続きなどが見直されることがあります。たとえば、ある回では対象として認められていた経費が、別の回では条件が追加されたり、上限額が変わったりするケースもあります。
この記事は、一般型通常枠の第20回公募要領および創業型の第4回公募要領の内容をもとに作成しています。申請を予定している公募回によって詳細が異なる可能性があるため、実際に経費を計画する際は、必ずその回の最新の公募要領を補助金事務局の公式サイトで確認するようにしてください。
「前回の公募要領ではOKだったから今回も大丈夫」と思い込んで経費を計上し、実績報告の段階で対象外と判定されるケースは少なくありません。経費の妥当性は、申請する回の公募要領を基準に確認する必要があります。
5よくある失敗・つまずきやすいポイント
経費の目的と補助事業計画がリンクしていない
機械装置やウェブサイトを購入・作成しても、実績報告の時点でそれを使って補助事業計画に記載した販路開拓等の取組を行っていなければ、その経費は補助対象外となります。「購入しただけ」「作成しただけ」で終わらないよう、補助事業計画に取組内容を具体的に落とし込んでおくことが重要です。
相見積もりの取得を忘れる
発注総額(1件あたり)が50万円(税込)を超える場合は、原則として2者以上からの見積もりが必要です。また、中古品を購入する場合は金額にかかわらずすべて2者以上からの見積もりが必須とされています。見積もりの取得を後回しにすると、交付決定の手続きが滞る原因になります。
内訳が不明な経費として計上してしまう
「諸経費」などの内訳が不明な費用や、委託・外注費の内容が契約書に詳細に明記されていない費用は、補助対象外とされます。発注先と契約を交わす際は、委託内容・金額の内訳を明確にしておきましょう。
自社ホームページやECサイトで使用する動画・写真の制作費用は、ウェブサイト関連費として計上することとされています。チラシやDM、看板など紙媒体や一般的な広告は広報費に区分されます。迷う場合は、どのような媒体・用途で使うものかを基準に整理すると判断しやすくなります。
店舗改装やバリアフリー化工事などの外注工事は、委託・外注費に区分されます。ただし、既存の事業部門の廃止にともなう解体工事や、単なる店舗移転を目的とした工事は対象外とされていますので、工事の目的が販路開拓や業務効率化に結びついているかを確認する必要があります。
6まとめ
小規模事業者持続化補助金の対象経費は、機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費・展示会等出展費・旅費・新商品開発費・借料・委託外注費の8区分に整理されており、業種によってよく使われる経費には一定の傾向があります。一方で、同じ区分の中でも対象になる経費とならない経費が細かく分かれているため、公募要領の記載を一つひとつ確認しながら計画を立てることが欠かせません。
また、対象経費のルールは公募回ごとに変わる可能性があるため、申請を予定している回の最新の公募要領を必ず確認してください。補助金制度全体の仕組みや対象要件については、あわせてピラー記事「小規模事業者持続化補助金とは?対象要件と補助率をわかりやすく解説」もご参照いただくと、全体像がつかみやすくなります。
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本記事の情報は公開時点(2026年10月)のものです。








