飲食業は持続化補助金をどう活用する?業種区分と経費のコツ

公開日:監修:株式会社オットセッテ読了目安:約10分
飲食業は持続化補助金をどう活用する?業種区分と経費のコツ

「小規模事業者持続化補助金」は、飲食店の厨房機器の入れ替えや店舗改装、チラシ・Web広告での集客強化など、幅広い販路開拓の取り組みに使える補助金です。ただし、飲食業は「従業員が何人までなら対象になるのか」「業種区分をどう判断するのか」でつまずく方が少なくありません。この記事では、飲食業が小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉を検討する際に押さえておきたい業種区分の考え方、対象経費、スケジュール、よくある失敗を、第20回公募(2026年5月27日公表の公募要領)に基づいて解説します。

1小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自ら作成した経営計画に基づいて行う、販路開拓等の取り組みにかかる経費の一部を補助する制度です。チラシ・Web広告などの広報、ホームページ・予約システムの整備、店舗改装、厨房機器の導入など、飲食店の集客力・生産性を高める投資に幅広く活用できます。

制度の対象者や補助率の基本的な考え方は、ピラー記事「小規模事業者持続化補助金とは?対象要件と補助率をわかりやすく解説」でも解説していますので、あわせてご確認ください。この記事では、飲食業ならではの論点に絞って説明します。

2飲食業は「商業・サービス業」?「製造業その他」?業種区分の考え方

小規模事業者持続化補助金の対象になるかどうかは、まず「小規模事業者」に当てはまるかどうかで判断します。小規模事業者かどうかは、業種区分ごとの従業員数の上限で決まります。

業種区分常時使用する従業員数の上限
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

ここで多くの飲食店経営者が気になるのが、「自分の店は、商業・サービス業なのか、製造業その他なのか」という点です。これによって、使える従業員数の上限が5人以下か、20人以下かが変わってきます。

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飲食業の場合、自店舗で「調理した料理をその場で提供するだけ」であれば「商業・サービス業」に区分されますが、これに加えて「流通性のあるお弁当・お惣菜・お土産などを製造している」場合や、飲食以外に別の事業を行っている場合は、「製造業その他」に区分されることがあります。業種名や従業員数だけで自己判断せず、実際に行っている事業の内容に照らして、小規模事業者の定義に当てはまるかどうかを確認することが大切です。

例えば、次のようなケースでは「製造業その他」として、従業員20人以下の基準で判断できる可能性があります。

  • 店内飲食に加えて、持ち帰り用のお弁当・お惣菜・お土産を製造・販売している
  • 仕入れた食材・商品に自社の加工を加えて、新たな価値をつけて販売している
  • 飲食業と別の事業(小売業・製造業など)をあわせて営んでおり、どちらの区分に当たるか判断が難しい

「従業員が6人以上いるから、うちは対象外だ」と早合点してしまう方が多いのですが、業種区分の考え方次第では、20人以下まで対象になる可能性があります。申請を検討する際は、自店舗の事業実態を整理したうえで、商工会・商工会議所や専門家に確認することをおすすめします。

飲食業の業種区分を判断する6ステップの手順(事業内容の整理から専門家への確認まで)
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上記の業種区分の考え方は、第19回公募の参考資料(2026年3月公表)時点の内容です。第20回公募の参考資料が公開された場合は、そちらの内容を優先して確認してください。

3対象者の要件

第20回公募〈一般型 通常枠〉では、小規模事業者であることに加えて、次のような要件も確認されます。

  • 資本金または出資金が5億円以上の法人に、直接または間接に100%の株式を保有されていないこと
  • 確定している直近過去3年分の課税所得の年平均額が一定の基準を超えていないこと
  • 商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること(事業支援計画書の発行が必要)
  • 過去に小規模事業者持続化補助金(一般型・創業型など)で採択・補助事業を実施している場合は、再申請にあたって一定の制限があること

個人事業主・法人いずれも対象になりますが、医師・歯医者など士業の一部や、一般社団法人・NPO法人(一定の要件を満たす場合を除く)などは対象外とされています。詳しい対象者の範囲は、最新の公募要領でご確認ください。

4補助率・補助上限額(第20回公募)

第20回公募〈一般型 通常枠〉の補助率・補助上限額は、次のとおりです。

補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
補助上限額(通常)50万円
インボイス特例50万円上乗せ
賃金引上げ特例150万円上乗せ
両特例を満たす場合200万円上乗せ

インボイス特例は、免税事業者からの転換等に対応する事業者向けの上乗せ措置、賃金引上げ特例は、従業員の給与支給総額を一定以上引き上げる事業者向けの上乗せ措置です。いずれも要件を満たさないと交付されない場合がありますので、活用を検討する場合は公募要領の該当箇所を必ず確認してください。

5対象経費と飲食業での活用例

対象経費は、機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費・展示会等出展費・旅費・新商品開発費・借料・委託外注費の8区分です。飲食業でよく検討される経費と、公募要領に挙げられている例を整理すると、次のようになります。

経費区分飲食業での活用例
機械装置等費生産・販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫、衛生向上のためのショーケース、ベビーチェアなど
広報費チラシ・看板の作成、DM発送、SNS広告・インターネット広告の実施(上限30万円・税込)
ウェブサイト関連費予約システムの構築、ホームページの新規作成・更新(上限30万円・税込)
委託・外注費店舗改装工事、トイレ改装工事など
展示会等出展費・旅費商談会・展示会への出展、それに伴う旅費

一方で、次のような経費は対象外とされていますので、計画を立てる際に注意してください。

  • 自動車、キッチンカー、キッチントレーラー、フォークリフトなどの車両等
  • 単なる取替え更新であって、新たな販路開拓につながらない機械装置等
  • パソコン・タブレット・事務用プリンターなど、汎用性が高く目的外使用になりうる機器
  • 広報費・ウェブサイト関連費のみでの申請(必ず他の経費と組み合わせる必要があります)
  • 建物の増築・増床や、コンテナハウス等の設置など、「不動産の取得」に該当する工事

特に「厨房機器を入れ替えたい」という相談は多いのですが、単なる老朽化した設備の取替え更新は対象外とされる点に注意が必要です。販路開拓・新サービス提供につながる投資であることを、経営計画・補助事業計画の中で具体的に説明できるようにしておきましょう。

6第20回公募のスケジュール

第20回公募〈一般型 通常枠〉のスケジュールは、次のとおりです(2026年5月27日公表の公募要領に基づく)。

公募要領の公開2026年5月27日
申請受付開始2026年11月5日
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切2026年12月4日
申請受付締切2026年12月15日 17:00
補助事業実施期限2028年3月31日
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事業支援計画書(様式4)は、地域の商工会・商工会議所に発行を依頼する書類です。発行には一定の時間がかかるうえ、受付締切後の発行依頼はいかなる理由があってもできません。申請を検討する場合は、早めに商工会・商工会議所へ相談しておくことをおすすめします。

7申請の流れと必要書類

申請の大まかな流れは、次のとおりです。

  1. GビズIDプライムのアカウントを取得する
  2. 経営計画・補助事業計画(様式2・様式3)を作成する
  3. 地域の商工会・商工会議所に事業支援計画書(様式4)の発行を依頼する
  4. 電子申請システムから申請書類一式を提出する
  5. 採択後、見積書等を提出して交付決定を受けてから補助事業を開始する
  6. 補助事業完了後、実績報告書を提出し、補助金額の確定・請求・交付を受ける

必要書類は法人・個人事業主によって異なり、直近の確定申告書や決算書類(貸借対照表・損益計算書など)の提出も求められます。決算期を一度も迎えていない創業間もない事業者については、売上台帳等の代替書類で対応できる場合があります。詳細は最新の公募要領・申請システムの手引きでご確認ください。

8飲食業でよくある失敗・注意点

業種区分を思い込みで判断してしまう

先述のとおり、飲食業は事業内容によって「商業・サービス業」か「製造業その他」かが分かれ、従業員数の上限も変わります。従業員数だけで「うちは対象外」と決めつけず、お弁当・お惣菜・お土産の製造・販売の有無など、実際の事業内容を整理してから判断しましょう。

ウェブサイト関連費・広報費だけで申請しようとしてしまう

ホームページのリニューアルや予約システムの導入は人気のある取り組みですが、ウェブサイト関連費や広報費は単独での申請ができません。厨房機器の導入や店舗改装などと組み合わせて、経営計画全体の中に位置づける必要があります。

車両・単なる設備更新を計画に入れてしまう

キッチンカーやキッチントレーラー、自動車は対象外です。また、古い厨房機器を同じようなものに入れ替えるだけの「単なる取替え更新」も対象外とされます。新しいメニュー開発や販路開拓に直接つながる投資であることを明確にしましょう。

採択率を正しく理解しておく

小規模事業者持続化補助金事務局が公表している結果によれば、〈一般型〉の採択率は第15回〜第19回で約37〜51%の範囲で推移しています(出典:小規模事業者持続化補助金事務局)。申請すれば必ず採択される補助金ではないため、経営計画・補助事業計画の内容や、要件を満たしているかどうかの事前確認が重要になります。

飲食業の申請前チェック手順:業種区分を確認、対象経費を組合せ、対象外経費を除外、採択率を把握の4ステップ

9よくある質問

Q1
従業員が6人以上いる飲食店は対象外ですか?

必ずしも対象外とは限りません。店内飲食の提供のみであれば「商業・サービス業」として5人以下が基準になりますが、お弁当・お惣菜・お土産の製造・販売など、流通性のある商品を取り扱っている場合は「製造業その他」として20人以下が基準になる可能性があります。自社の事業内容を整理したうえで、商工会・商工会議所や専門家に確認することをおすすめします。

Q2
厨房機器の入れ替えは補助対象になりますか?

生産・販売の拡大など、新たな販路開拓につながる場合は対象になり得ます。ただし、単なる老朽化した設備の取替え更新は対象外とされています。補助事業計画の中で、どのように売上拡大につながるのかを具体的に説明できるようにしておく必要があります。

Q3
個人事業主の飲食店でも申請できますか?

個人事業主も対象です。ただし、確定申告書の写しなど、法人とは異なる提出書類が求められます。また、開業から間もない場合は、売上台帳等の代替書類で対応できる場合がありますので、必要書類は最新の公募要領で確認してください。

10まとめ

飲食業が小規模事業者持続化補助金を活用する際は、まず自店舗が「商業・サービス業」「サービス業のうち宿泊業・娯楽業」「製造業その他」のどの区分に当たるかを、事業内容に即して確認することが出発点になります。そのうえで、対象経費・対象外経費を正しく理解し、経営計画・補助事業計画の中で販路開拓の効果を具体的に説明できるようにしておくことが、申請の質を高めるポイントです。

制度の内容は公募回ごとに変わる可能性があります。申請を検討される際は、必ず最新の公募要領・公式サイトで要件やスケジュールをご確認ください。

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本記事の情報は公開時点(2026年10月)のものです。